bibliomanifesutus microscopium II

セメン樽に顕微鏡

無駄な悲鳴は上げない

バラに水をやろうとしたらつぼみに2センチ以上ある青虫がついていて、叫びたかったけど叫んでもどうにもならないからやめて、闘った。殺虫剤かけても死ななくて(役立たず!!!)割り箸と竹串をセロテープで繋いで30センチくらいの棒にしてそれで取ろうとしたけど抵抗されて手間取ってやっとどけた。涙が出た。子供のころからのいろんな虫の記憶がフラッシュバックする。夕方外に出たら木の下を平常心で歩けなかった。テーブルの上の輪ゴムとか自走式掃除機のCMにも反応してる。まだ茎にしがみついて逆らう虫の感触が抜けない。いろんなものに怒りがこみ上げるけどどうすることもできない。虫を世界から消せないなら自分が世界から消えたい。

8歳のとき家の門から玄関まで続く小道に両側からかぶさっている木の枝の一本に数センチの太い青虫がいて(記憶の中では片腕くらいの大きさの存在になってる)、迂回したくても小道の両側はやっぱり木の生い茂る植え込みで、そこはそこで確実になんかがいるから入れなくて、その下を通るしかない。学校の行き帰り、見たくないけど目をそらすと絶対に頭の上に落ちてくるから目をそらさないで、駆けると振動で落ちてくるから揺らさないようにそっと早足で下を通りすぎた。ずっと枝の同じ場所にいたそいつはそのまま死んでたみたいで、何日かするうちに茶色くなってきてある日学校から帰ると地面に落ちていて、小さい蟻が群がっていた。大きすぎて運べなかったのか蟻たちはそいつの上に盛り土をして翌日にはソーセージくらいの小さな塚になって、いつの間にか地面に引き込まれていった。そこを間違って踏んでしまうことのないように、その場所を頭に刻みつけた。