bibliomanifesutus microscopium II

セメン樽に顕微鏡

テツ様御出演番組「オーラの泉」感想

 あたかもテツ様が二人組の押しの強い詐欺師に壺を売りつけられる、みたいな。ほんとに壺売ってるわけじゃなくて「無料のアドバイス」あげてるだけだけどね(多分)。小説とかでよく詐欺師が二人組で仕事してる、それがどうしてなのかがよく分かる番組でした。
 まずはテツ様の「ぼくは暗いです」という自己申告を踏まえて、美輪氏が「あなたは繊細なアーティスト気質」と話を振る。次に江原氏が「黒いオーラが。このままでは生きる力を失ってしまう」と方向付ける。ペルーだのインカだの母を尋ねて三千里だので「家族の愛に恵まれずさすらう孤独な少年」のヴィジョンを浮かび上がらせたところで、「身近な愛を信じることで自分を変えなさい」とアドバイス。お見事。このタイミングでお守りの壺だかなんだか出したら、雰囲気に飲まれやすい人なら100万くらい出しかねない。
 饒舌でどんどん具体的なイメージを繰り出す美輪氏と、控えめな口調に徹しながら話を絶望的な方向にがっつり決定づける江原氏。二人が交互に話すことで、とんでもなく大きな風呂敷が広がっていきます。よいコンビかと。
 番組での表情を見る限りテツ様だったら結局壺を買いはしないでしょうが。「前世は孤独な少年」のあたりでは一瞬うるうる来てたようにも見えましたが、美輪氏のアドバイスがだんだんふつうのありがちな小言(「あんたは十分恵まれてるんだから贅沢言っちゃいけません、みたいな)にすり替わってくあたりで距離を取り戻してました。
 そんなわけでほんとに壺を売りたかったら美輪氏の喋りをコントロールした方がよいかと思います、はい。